アトピー性皮膚炎の治療で、ほとんどの人が一度は処方されるステロイド外用薬。
一方で、
- ずっと使い続けないといけないの?
- 依存するって聞いたけど本当?
- 強い薬ほど危険じゃないの?
そんな不安を抱えたまま使っている人も多いのではないでしょうか。
私自身、薬剤師として患者さんに説明してきた一方で、実際に使用してみるとアトピー治療の難しさを実感しました。
この記事では、医学的な位置づけと現場のリアルを踏まえながら、
「ステロイド外用薬とどう付き合えばいいのか」
を、できるだけわかりやすく解説します。
※こちらでは成人アトピー、ステロイド外用薬について記載しています。
ステロイド外用薬とは
ステロイド外用薬は、皮膚の炎症を抑えるための薬です。
アトピー性皮膚炎の治療においては、ガイドラインでも**基幹薬(治療の中心)**として位置づけられています。
であり、正しく使えば治療を前に進めるための道具だという点です。
「根治薬ではない」という言葉だけが独り歩きすると誤解されがちですが、
実際には炎症を放置することの方が、皮膚には大きなダメージになります。
また、皮膚に直接作用する薬で、内服のステロイドとは性質が異なります。
適切な強さ・量・期間を守って使えば、重い全身副作用が起こることはほとんどありません。
ステロイド外用薬のランク
ステロイド外用薬は、効果と副作用のバランスを取るため、強さによって5段階に分類されています。
Ⅰ群:ストロンゲスト
デルモベート(クロベタゾールプロピオン酸エステル)
ジフラールorダイアコート(ジフロラゾン酢酸エステル)
Ⅱ群:ベリーストロング
アンテベート(酪酸プロピオン酸エステル)
マイザー(ジフルプレドナート)
ネリゾナ(ジフルコルトロン吉草酸エステル)
Ⅲ群:ストロング
メサデルム(プロピオン酸デキサメタゾン)
ボアラ(デキサメタゾン吉草酸エステル)
フルコート(フルオシノニドアセトニド)
Ⅳ群:ミディアム
リドメックス(プレドニゾロン吉草酸エステル酢酸エステル)
キンダベート(クロベタゾン酪酸エステル)
ロコイド(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)
Ⅴ群:ウィーク
プレドニゾロン(プレドニゾロン)
出典:今日の治療薬2020より抜粋 及び一部改変
使用するランクの強さは、症状の程度、使用する部位によって決められます。
※同じランクでも、基剤(軟膏・クリーム・ローション)や使用部位によっても使用感や吸収は異なります。
部位によっても強さが変わることから、強いからといって必ずしも症状も強いとは限りません。
ステロイド外用薬でよくある疑問
Q1.使い続けないといけないのか

強いステロイド=一生やめられない のではないか?

症状が落ち着けば、段階的に弱いランクへ移行します。
ステロイドを使用している時は、塗り忘れやいきなり中止することより症状が悪化したり、治らないように感じることがあります。
強いステロイドは短期的に使用し、症状に合わせてランクを下げ、その後徐々に使用回数を下げていきます。
ステロイドを使用せずに済むようになるには以下も重要です。
よって適切に中止すること、アトピーの原因を避ける生活を送ること、により症状がコントロール出来るようになれば一生使い続けなければならない薬ではありません。
Q2.小児への使用

ステロイド外用薬は子供に使用出来るのでしょうか。

使用するランク、用法用量を守って使用すれば問題なく使用できます。
お子さんは皮膚が薄いので、大人に処方されるときよりも少しランクを下げたステロイド外用薬を処方されることが多いです。
しかし症状にも合わせて処方が決められるので、短期的に、少しランクの強いステロイド外用薬が処方されることももちろんあります。
いずれにせよ怖がらずに医師の指示に従って使用することが、早期寛解への近道です。

怖がって中途半端な使い方をするのが一番危険です。
Q3.依存性について

毎日ステロイド外用薬を使うと依存する?

依存性のある薬剤ではありませんので、毎日使用して依存することはありません。
結論から言うと、
ステロイド外用薬そのものに、薬理学的な依存性はありません。
ではなぜ「やめられない」と感じる人が多いのか。
それは多くの場合、
- 炎症が完全に治りきる前に中止している
- 急にやめてしまい、症状が再燃している
といったケースです。
これを**リバウンド(再燃)**と感じ、「依存しているのでは?」と誤解してしまうのです。
ステロイド外用薬は炎症を抑える効果は優秀ですが、原因をなくすものではないため、効果はあるのに治らない、やめることができない、
と怖がられてしまうことが多いです。
Q4.副作用について

内服ステロイドよりは副作用が少ないらしいけど、ステロイド外用薬では副作用は全くないの?

ステロイド外用薬は、正しく使えば安全性の高い薬です。
ただし、副作用が「ゼロ」ではありません。
起こり得る副作用としては、
- 皮膚が薄くなる
- 毛細血管が目立つ
- 部位によっては吸収が高くなる
などがあります。
しかし、正しく使用していれば、頻発する副作用ではありません。
だからこそ、
部位・期間・強さを医師と相談しながら使うことが大切なのです。
ステロイド外用薬の正しい使い方【量・期間・やめ方】
ステロイド外用薬は「量・期間・やめ方」を守ることで、効果を最大化し、副作用のリスクを最小限にできます。
量|「少なめ」はNG。効かせる量がある
ステロイド外用薬は、「できるだけ少なく」「薄く塗る」薬ではありません。
炎症をしっかり抑えるためには、必要な量をきちんと塗ることが重要です。
量が足りないと、
- 炎症が十分に抑えられない
- 何度も塗り直すことになり、結果的に使用期間が長引く
という悪循環に陥りやすくなります。
成人の人差し指の先端から第一関節までの長さに薬剤を乗せた量(約0.5g)を指します。この量は、成人の手のひら2枚分(体表面積の約2%)に塗るのに適した分量とされています。
塗る量が少し多いと感じるかもしれませんが皮膚の凹凸に対し十分な量をしっかり塗ることで、期待する効果が得られやすくなります。
期間|「よくなった=やめ時」ではない
見た目の赤みやかゆみが落ち着くと、「もう治った」と感じてしまいがちです。
しかし、皮膚の中の炎症は、見た目がよくなってからも残っていることが多いです。
この段階で自己判断で中止すると、
- すぐに再燃する
- 「ステロイドがやめられない」という感覚につながる
原因になります。
「症状が落ち着いたあと、もう一段階使う」ことが再燃予防のポイントです。
中止するとき|「いきなりゼロ」が一番危ない
ステロイド外用薬で最もトラブルが起きやすいのが、「やめ方」です。
自己判断で、突然中止すると、症状が再燃しやすくなります。
医師の指示に従いながら、
- 十分に皮膚の炎症が落ち着いていること
- アトピーを悪化させる原因を取り除けていること(生活改善)
を確認しながら、**いきなり完全に中止するのではなく、段階的に減らしていく(ステップダウン)**ことが基本になります。
こちらは従来の方法で、皮疹が起きにくい場所には効果的ですが、再燃をきたしやすい部位には上記のプロアクティブ療法が良いとされます。
出典:アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024
ステロイド外用薬での私の失敗
ステロイド外用薬をあてにしすぎた
ステロイド外用薬を塗ると劇的に良くなる
↓
良くなってると勘違いして、原因を探さない
↓
原因が悪化し、アトピーの症状も強くなる
↓
ランクが上がる
↓
ステロイド外用薬を手放せない。。。
このループにはまっている人は少なくないと思います。
ステロイド外用薬で治った気がしてしまうんですよね。
原因を探すのって結構難しいのです。そういった指導はあっても、あまりカウンセリングをしたりってことは少ないと思うので。
原因は人によって様々ですが、私の場合は、元のアトピー素因+仕事のストレス、多忙による食生活や生活習慣の乱れが主でした。
転職をしたタイミングで、ストレスや食生活も改善し、休息も良く取れるようになり、そこから徐々に良くなっていきました。もちろん薬を使いながら。
もう治った!と思い何度もやめる
上記とも似ていますが、痒くなくなった、赤くなくなった、ステロイド外用薬ってやっぱり内服と比べて副作用が少ないとはいえ、局所的副作用が全くないわけではないし、べたつくし、やっぱり塗らなくて済むなら塗りたくない
と、知識を持っていても思ってしまうんですね。
でもやっぱり、ある日突然良くなるって日は来ないんですね。
内側に見えない炎症が残っていたり、アトピーを起こす行動をやめられていなかったり。
中止するときこそ医師の指示を守って慎重に行うことが大切です。
ステロイド外用薬以外の選択肢
現在のアトピー治療は、ステロイドだけではありません。
- タクロリムス
- JAK阻害薬外用
- 生物学的製剤
など、状態に応じた選択肢があります。
大切なのは「ステロイドを使う or 使わない」ではなく、
今の自分に合った治療を選ぶことです。
ステロイド外用薬のまとめ
ステロイド外用薬は「敵」ではない
- ステロイド外用薬はアトピー治療の基幹薬
- 正しく使えば、症状を早く・安全にコントロールできる
- 怖いのは薬そのものより「誤った使い方」
不安を抱えたまま使うより、
理解したうえで味方につける。
それが、長いアトピー治療を乗り切るための大きな一歩になります。
この記事が、ステロイド外用薬に対する不安を少し整理するきっかけになれば嬉しいです。
参考文献・出典
- 日本皮膚科学会「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024」
- 今日の治療薬2020
- マルホ株式会社
- 各ステロイド外用薬 添付文書
- プロトピック軟膏 添付文書
- コレクチム軟膏 添付文書
- デュピクセント皮下注 添付文書
※内容は2025年12月時点の情報をもとに記載しています。

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